RHEL8とRHEL9、何が変わったのか


Linuxをお使いの皆さん、こんにちは。

サーバーOSとして、あるいは開発や学習の環境として、Linuxは多くの場面で重要な役割を担っています。Linuxディストリビューションがメジャーバージョンアップを迎える際、その新しいバージョンには、リリース時点での技術的な進歩やセキュリティに関する考慮が反映されています。今回は、現在広く利用されているRHEL8と、その次の世代であるRHEL9について、どのような主要な変更点があるのかを、確認していきたいと思います。

この記事は、特定の環境からの移行を前提とするものではなく、純粋に技術的な違いや、それぞれのバージョンが持つ特性を理解するための一助となることを目的としています。

※本記事は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) およびその派生ディストリビューション(AlmaLinux, Rocky Linuxなど)のRHEL8とRHEL9の比較を想定しています。他のLinuxディストリビューションでは、バージョン番号体系や変更内容が異なります。

OSの基盤に見られる変化

まず、OSの根幹に関わる部分から見ていきましょう。メジャーバージョンアップでは、システムの基盤となる要素が更新されます。

1. Linuxカーネルの世代交代

OSの心臓部とも言えるLinuxカーネルのバージョンが新しくなっています。

  • RHEL8: 主にLinux Kernel 4.18系をベースとしていました。
  • RHEL9: Linux Kernel 5.14系をベースとしています。

カーネルのバージョン更新は、通常、対応するハードウェアの拡充、パフォーマンスの最適化、そして様々な新機能やドライバの追加を含んでいます。これにより、RHEL9はより新しいハードウェアへの対応が進み、全体的な基盤性能の向上が図られています。

2. ソフトウェアコンポーネントの更新

システム上で動作する様々なソフトウェアや、開発に関わるツール群も、RHEL9では全体的に新しい世代のものになっています。

例えば、GNU Compiler Collection (GCC) やC標準ライブラリ (glibc) といった開発の根幹を支えるツールチェーンが更新されています。また、PythonやNode.js、Rubyといったプログラミング言語のバージョンも、RHEL8で提供されていたものから新しいバージョンが中心となっています。これは、開発者の皆さんが最新の言語機能やライブラリ、フレームワークを利用しやすくなるというメリットをもたらします。データベースやWebサーバーといったミドルウェアも新しいバージョンが提供されるため、利用できる機能や性能が向上する可能性があります。

セキュリティと管理機能の進化

OSのセキュリティや、システムを管理するための機能もバージョンごとに進化しています。

3. セキュリティ機能の強化

セキュリティはOSにとって常に重要な要素です。RHEL9では、より現在の標準に合わせたセキュリティ強化が行われています。

例えば、システム間の通信で使われる暗号化の設定において、より厳格なデフォルト設定が適用されています。これはセキュリティレベルを高める一方で、古いシステムとの互換性において考慮が必要になる場合があります。また、OpenSSHやSELinuxといったセキュリティ関連のツールやポリシーも更新され、全体的なシステムの安全性が高められています。皆さんがシステムを構築・運用する際に、これらの新しいセキュリティ標準を意識することは重要になります。

4. システム管理とコンテナ関連の変更

システムの管理方法や、近年重要度が増しているコンテナ技術に関する部分でも変更が見られます。

コンテナやプロセスが利用できるリソースを制御するcgroupsは、RHEL9でv2がデフォルトになりました。RHEL8ではv1が一般的でしたので、コンテナの構成やリソース管理の方法に影響を与える可能性があります。ウェブベースの管理ツールであるCockpitも機能が強化され、より多くの管理タスクをGUIから行えるようになっています。

5. 一部コンポーネントの非推奨化・削除

新しいバージョンが登場する際には、技術的な進化に伴い、一部の古い機能やパッケージが非推奨となったり、リポジトリから含まれなくなったりすることがあります。もし皆さんが特定の古いソフトウェアやドライバに依存している場合、RHEL9でそれが利用可能か事前に確認することが重要です。これは、新しい環境で既存のアプリケーションを動かす際に考慮が必要な点です。

RHEL8とRHEL9、それぞれの特性

これらの変更点を踏まえると、RHEL8とRHEL9は、それぞれ異なる特性を持っていると言えます。

  • RHEL8: リリースから時間が経過しており、多くの環境でその安定性が確認されています。特定の成熟したソフトウェアスタック上で安定した運用を行いたい場合に適しているかもしれません。
  • RHEL9: より新しい技術基盤を持ち、最新のハードウェア対応や強化されたセキュリティ機能を提供します。新しいプロジェクトや、最新の技術トレンドを取り入れたい場合に有力な選択肢となるでしょう。

どちらのバージョンを選択するかは、皆さんのプロジェクトの要件、必要なソフトウェアバージョン、互換性、そして求める安定性や新機能によって判断されることになります。

まとめ

RHEL8とRHEL9の間の変更点は、OS全体の進化を反映したものです。新しいカーネル、更新されたソフトウェア群、強化されたセキュリティ機能、そして管理機能の改良など、多岐にわたる変更が含まれています。

これらの違いを理解することが、皆さんのシステムにとって最適な環境を選択するための一助となれば幸いです。どのバージョンを選ぶにしても、その特性を理解し、適切に活用することが重要です。

この記事が、皆さんのLinuxに関する理解を深める一助となれば幸いです。

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